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東北大学研究室で開発された「低周波」(医療用具)による画期的治療器  夜間の頻尿、尿失禁など小児から高齢者の悩みを解決!!  @タイムス情報

更新日:20 時間前

東北大学研究室で開発された「低周波」(医療用具)による画期的治療器

 夜間の頻尿、尿失禁など小児から高齢者の悩みを解決!!  @タイムス情報


 医療用低周波治療器の完成

「この度、新たに足漕ぎ車椅子と同じ東北大学研究室で発明された仙骨表面治療的電気刺激装置の販売を開始することになりました。低周波による仙骨孔刺激により、夜間の頻尿や尿失禁を改善するアイテムです。

 試験段階でも、夜間に何度もトイレに行かれる方や尿意により安眠できない方などに効果が期待でき、安眠できると好評をいただいている装置ですが、前立腺肥大による排尿障害やお子様のおねしょにも効果が期待できるなど、小児から高齢者まで幅広くお勧めできるアイテムになります」とのメールがあった。

 それが2024年9月、足漕ぎ車椅子COGY(コギー)の研究製造販売を手がけるベンチャー「株式会社TESS」(鈴木堅之社長)から販売された「ペースケア」(医療用承認番号306AHBZX00020000)である。

 いわゆる低周波治療器は、世の中に多く出回っている。ペースケアが既存の治療器と異なるのは、1~20ヘルツの低周波と50~100ヘルツの鍼灸マッサージ用には用いられてこなかった30~50ヘルツでの低周波治療器を完成させたということである。

 亡くなった東北大学医学部の半田康延教授が安全で効果のある低周波帯として30~50ヘルツの効果をいかにして製品化するかのテーマを引き継いで実証実験を重ねた結果、ようやく厚生労働省の認可も得られて、発売にこぎ着けたわけである。

 その意味では、足漕ぎ車椅子COGY(コギー)の延長線上にある発明というよりも、コギーの開発者である半田教授が亡くなって約2年、もともとの研究テーマである「電気刺激治療」の成果が、ようやく形になったものだ。

 二種類の電気刺激効果

 多くの効果が期待されるペースケアの特徴は「仙骨孔部分のマッサージで、症状が緩和される!」というものである。

 仙骨治療は多くの効果があるということから、根強い人気がある療法である。

 その仙骨孔部分のマッサージで症状が緩和する理由は、人間の体における仙骨の役割に直結していることだ。

 それは仙骨が骨格の土台であるのみならず、実は脳や脊髄などの中枢神経を支え、自律神経などの抹消神経の働きやバランスを支える骨だからだ。仙骨が支えている脊柱は、脊髄というたくさんの神経の束を抱えていて、身体全体に脳からの指令を送っている。

 そのため、仙骨を刺激することで、様々な効果が期待できるわけである。

 骨盤上部の神経の束がある部分の左右に電極パッドを貼って、刺激することによって、様々な症状の改善が期待されるという仕組みである。

 東北大学医学部の研究室で開発されたものだけに、二種類の電気刺激によって、運動麻痺を改善。筋肉の知覚神経を刺激することによって、筋肉運動障害の改善、中枢運動神経回路網の賦活効果があるというものだ。

 二種類の電気刺激とは一つがFES(機能的電気刺激)、もう一つがTES(治療的電気刺激)である。

 その組み合わせによって、様々な治療効果が得られている。


 排尿困難と生理痛、嚥下障害の改善

 仙骨マッサージで症状が緩和するとして、TESSが代表的改善例に上げているのが、仙骨に近い、例えば膀胱への関与である。

 尿漏れ、頻尿の原因は、身体機能の低下などの尿道括約筋を含む骨盤底の筋肉の緩み、膀胱周囲の神経の機能低下から来ている。

 そのため、仙骨マッサージにより、仙骨部分に集中している副交感神経の働きを刺激し膀胱の収縮を抑えることで、周辺筋肉や神経に起因する症状の改善を促すことができる。

 要は、膀胱が広がり、尿を溜められる。尿道をしめる尿道括約筋を活性化し、尿を止めておけるようになる結果である。

 介護施設等での利用例では、排尿障害の軽減により、施設側での負担の軽減、利用者側では自信・意欲の向上などにより、在宅復帰への一つの足がかりとなっている。

 切迫性尿失禁及び夜尿症に対する有効率が「60%強」ということで、実際の画像では電気刺激を続けることで、膀胱が広がっていくことがわかり、排尿障害に対する効果が、いわば目に見える。

 多くの女性が悩まされる生理痛や月経困難症の痛みなども、仙骨マッサージによる仙骨神経の働き及び原因である卵巣や子宮の機能低下が改善することによって解消される。

 月経困難症の場合は、中枢神経に対する刺激により、ホルモンバランスを整えることで症状の緩和につながっている。

 高齢化社会の到来とともに、あるいは新型コロナ感染下、誤嚥障害による肺炎での死亡が増えている。

 この嚥下障害の治療にも、電気刺激効果が、近年注目されている。その中で、嚥下障害の治療に関しても、東北大学グループの独自の低周波治療器によるノドの部分の刺激によって、嚥下障害が克服できることがわかっている。

 ノドの写真画像でもわかるように電気刺激の有効性は顕著で、約10例ほどの症例で効果が認められている。

 今後も、症例数を拡大するとともに、介護の現場に供給していく予定だという。

 車椅子の81歳女性が歩き出す

 膀胱やノドと、それぞれ近い部分での改善効果が見られるわけだが、何とも興味深かったのが、腹筋・背筋に対する電気刺激効果である。

 症例報告は81歳の女性である。施設に入所していて、車椅子生活を送っている。下肢に短下肢装具を装着することで、ようやく歩行できる状態である。

 電気刺激装置による体幹訓練に関する研究成果には、介護度が高く日常動作の起き上がりや寝返りができない方のために、腹部に電極を貼り、低周波で刺激することにより、安全に「腹筋」の再構築が可能となった。

 これまでの7例(ほとんど寝たきりで、自分で寝返りが打てない)において、約2カケ月で立ち上がることもできるようになった。

 腹筋が再構築された様子はMRIによって確認されている。

 寝返りから、起き上がり、場合によっては歩行まで回復させることができるので、施設だけではなく、在宅介護においても大きな介護支援になる。

 毎日15分ほどの刺激で、腹筋の再構築がなされるということは、不思議でもあるが、電気刺激療法にはまだまだ大きな可能性があるということの証明であろう。

 他の効果としては、便秘の改善、腰痛の軽減が見られたという。

 導入への高いハードル?

 足漕ぎ車椅子は、日本ではまだまだいわゆる車椅子とは異なる形状、機能、身体への波及効果など、十分に知れ渡ってはいない。

 さらなる普及が課題となっている中で、新たな柱となる商品ペースケアが発売されたことは、TESSにとっては、事業推進のための両輪が揃ったということでもある。

 足漕ぎ車椅子コギーに乗ることでの脳への刺激に「ペースケア」の電気刺激が加わることで、さらなる相乗効果が期待される。

 とはいえ、新たな市場開拓は、既存の常識の壁がある業界では、必ずしも容易ではないのは、コギーのケースに限らない。

 単純に「東北大学医学部の研究室から生まれた医療器具であれば、付属の東北大学病院で積極的に導入して、治療に用いれば」と思うのは、医療業界を知らない素人の発想のようだ。

 大学病院は外科から内科その他、多くの専門分野が集まっていて、そのそれぞれに専門の先生がいる。つまりは外科の先生は、あらゆる病気を外科の手術で治すことを使命にしている。内科の先生は、様々な薬剤を使って病気を治す。

 そこに「これ、いいですよ」と電気治療器を持っていっても、よほど研究熱心な先生か変人(?)ではないと、おいそれとは「わかった」とはならないようだ。

 専門化、細分化し過ぎた医療の反省と限界から総合的・統合医療が改めて脚光を浴びている時代とはいえ、異なる分野の製品の導入にはなお高いハードルが存在する。

 とはいえ、多くの病院や介護施設その他、健康関連施設での導入を推進しつつ、自由な発想をもとに「いまは多くの健康関連商品を揃えている家電チェーン店への営業をかけているところです」と、鈴木社長は慣れない販売の苦労の一端を語る。

 チャレンジは続くが、市場は大きい。強力な味方なり、ビジネスパートナーを得ることによって、困難を成功へと変える日が来ることを期待したい。



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