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不戦を貫いてきたスウェーデンのNATO加盟の衝撃!  「がんばろう、日本!」国民協議会 機関紙『日本再生』第539号より

更新日:6月5日


 不戦を貫いてきたスウェーデンのNATO加盟の衝撃!

 「がんばろう、日本!」国民協議会 機関紙『日本再生』第539号より


 憲法に関する世論調査

 毎年5月3日は憲法記念日である。

 ゴールデンウィークに挟まれた1日として、特に記念すべき休日だが、世界のあちこちで戦争・紛争・テロなどが続いている現在、日本の「平和憲法」がいつまであるか、先行き不透明である。

 実態は、世界の軍事大国並みの防衛予算と自衛隊を持っている。近隣諸国にきな臭い動きが絶えない中、すでに機能不全に陥っているとか、外国から押しつけられた憲法だなどと、様々な言い方をされて、平和憲法は肩身の狭い状況に置かれている。

 そんな平和憲法だが、例年行われる憲法に関する世論調査(共同通信社)では「改憲を急ぐ必要はない」との回答(65%)が「急ぐ必要がある」(33%)のおよそ2倍という結果になった。

 もっとも平和憲法の要となる9条に関しては、改正の必要性が「ある」(51%)に対して「ない」(46%)という具合に、賛成が反対を上回る結果になっている。

 改憲は急ぐ必要はないとの声が多数を占める一方、9条改正には賛成が反対を上回る。

相反する結果のようにも見えるが、日本周辺の軍事情勢の他、自衛隊との関係もあり、決めかねているということだろうか。

 それでも徐々に、9条改正という形で、日本の平和憲法は危うい状況にある。

 日本を見習って、平和憲法を実現した中米コスタリカも、微妙な立場に置かれている状況が伝わってくる中で、19世紀初めのナポレオン戦争以来、200年にわたり戦争に参加していないのがスウェーデンである。

 2014年には「平和維持200周年」を迎えている、近年の日本以上の平和国家として知られる。

 そのスウェーデンがロシア・ウクライナ戦争の結果、NATO入りをしたのである。

 ニュースは、その事実だけが、当たり前に報じられるだけで、スウェーデンに一体何が起きているのか、遠い日本にはほとんど伝わってこない。

 旧「民主統一同盟」機関紙

「ウエルネス@タイムス」並びに無名ジャーナリストの扱うテーマは、多岐にわたる。

 多くのジャーナリストが、専門分野を標榜する中で、あえて「人間」を専門と謳っているのは、人間がわからずに、政治をはじめ経済や社会を語っても、ピント外れになるのではないかと思ってのことだ。

 とはいえ、何から何まで一人でできるわけではない。取材その他、執筆の協力者などもいる他、信頼できる特定の個人や団体等に、各種専門分野での情報収集活動を代わりにやってもらっているつもりの関係者もいる。

 そんな一つが、政治面・永田町関係のウォッチャーとしての「がんばろう、日本!」国民協議会である。旧・民主統一同盟、その前はマルクス主義青年同盟として、長らく活動してきた政治団体である。

 学生運動華やかなりし頃に誕生していることもあり、過激派と見られがちだが、共産党に共闘を持ちかけて断られているぐらいで、ただの過激派とは異なる。同時に、その主張は用いる用語・表現などがジャーナリズムとは微妙に異なるが、現実的かつ理論的であるため、古いシンパ(読者会員)の一人として接してきている。

 日本の多くのメディアは、記者クラブ制度があり、発表ものをベースに記事づくりをしているため、似たようなニュースがどのメディアでも流される傾向にある。

 最近でこそ、マスメディアに代わって、YouTubeが独自の視点からの情報を流しているが、同時に増えたのがフェイクニュースなので、いわゆる表のメディアはアテにはならない。

 そんな中で毎月、届く機関紙「日本再生」は、独自の情報網を持つ政治家をはじめ大学教授などの他、いわゆる会員からの報告が、時には海外からも届くため、世界の情報を掴むのにも役に立つ。

 平和国家スウェーデンで起きていること

 2024年4月発行の『日本再生』第539号は「民主主義の当事者であることをあきらめない~フォロワーシップの小さな一歩を」という巻頭言の他、「中国経済・全人代の評価」に関する梶谷懐・神戸大学教授へのインタビュー、「国民にとっての政治活動の自由とは」との江藤祥平・一橋大学教授へのインタビューの他、コラム「一灯照隅」という内容の、A4判16ページの通信レポートである。

 そのコラム「一灯照隅」に掲載されたのが、スウェーデン在住の会員・松田青子さんの「近年のスウェーデン政治に思うこと/NATO加盟と防衛協力協定DCA」である。

 以下、平和国家スウェーデンで起きていることを、松田氏のレポートから抜粋する形で紹介する。

 同レポートは冒頭、次のように始まる。

「スウェーデン政治で最近起きた、私にとって最もショッキングな変化は、ロシアのウクライナ侵攻に恐れをなして、200年の非同盟・中立・不戦の伝統を破り、一気にNATO加盟を決定してしまったことだ(加盟の決定は、前・社民党単独政権の最終盤になされた)。

 私は、スウェーデンが、非同盟・中立・不戦を貫いて、2度の大戦の戦火を免れたことは、第二次大戦後いち早く国民生活向上に取り組むことを可能にした重要要素であったと思い、『戦争をしない国』スウェーデンを高く評価していた。

 NATO加盟は、それまでの原則を完全に変更して、NATOの『抑止力』(スウェーデン語では抑止は『脅しにより相手を思いとどまらせること』)を頼み、一方、自国以外の同盟国に事あれば、集団的自衛の枠組みで自動的に戦争当事国になることを意味する。

 ロシアのウクライナへの全面的侵攻が目前で行われるのを見て、スウェーデン国民はショック状態に陥り『ウクライナはNATOに入っていなかったから侵攻された』『ロシアに攻められないためには、NATO加盟しかない』という加盟派の主張に、多くの国民が飲み込まれてしまった。メディアもNATO加盟の擁護を得る以外の面~中立を失って即敵国(=攻撃対象)になることや、他の加盟国を守る義務が生じることなど~を、ほとんど取り上げることなく、加盟に反対する声はかき消された。

 こんな重要な国の方針転換が、一旦近隣で戦争が起きると、どさくさに議論もなく決められてしまうということを学ばされた。(日本でも、あっという間に憲法改正~私から見ると、改悪が、現実のものとなり得るかもしれない)」


 戦争ビジネスの実態

 ロシアの脅威があってのことととはいえ、スウェーデンも日本の後を追うように、アッという間に米軍への軍事協力体制を締結したことに、松田氏は「まるでスウェーデンが日本の後追いをしているようでショックであった」と書いている。

 そして、今度は日本がアッという間に、平和憲法を捨てるのではないかと記している。

「スウェーデンは『戦争をしない国』だという期待は、見事に裏切られたが、振り返ってみると、スウェーデンが中立・非同盟の国だというおもて面は、実際のところだいぶ以前から、すでに実態を伴っていなかったことに気づく」

「このスウェーデンの動きは、日本国憲法の平和主義を閣議決定と強行採決でなし崩し、有名無実にして、アメリカとの軍事同盟を強化し、軍備と軍需産業を拡大させている日本と酷似していると感じる。日本国憲法を理想と胸に抱いて育った私には、どっちを向いても状況は絶望的だ」との危機感を吐露している。

 一見、もっともらしい解説からはわからないアッという間の転換のベースには、スウェーデン製のJAS戦闘機(SAAB社)の輸出拡大につなげるため、NATO加盟が後押しになるという本音があることも、SAAB社CEO自らインタビューで語っているという。しかも、スウェーデンのNATO加盟にトルコとともに最後まで反対していたハンガリーが、JAS戦闘機の購入に関する値引き交渉の材料にしていたことなど、戦争ビジネスの意外な真相も明らかになってきた。

「反対運動がデモという政治的直接行動に現れにくい点も、スウェーデンは日本に似ている」というレポートからは、平和国家・日本の明日の姿が浮き彫りになるようである。

 以上、スウェーデンに暮らす日本人女性の見た、日本の報道からはわからない一面の報

告である。


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