top of page
vegita974

●ヘヴニーズ「フリーダムファイト11」 帝国陸軍初の特攻隊「万朶飛行隊」  9回出撃して9回生還した佐々木友次と「生きて還れ!」の命令

更新日:12月11日

●ヘヴニーズ「フリーダムファイト11」 帝国陸軍初の特攻隊「万朶飛行隊」

 9回出撃して9回生還した佐々木友次と「生きて還れ!」の命令


 天国+日本人という音楽一座

 今年も12月8日がやってきた。

 83年前、1941年のその日は「真珠湾の日」として歴史に刻まれている。毎年来る12月8日だが、2025年は戦後80年という節目の年になる。

 世界が相変わらず戦争を続けている中、日本も多くの問題を抱えているとはいえ、戦争のない平和な80年を送っている。

 それはもちろん、日中並びに太平洋戦争・第二次世界大戦における多くの人たちの死・犠牲の上で、可能になっている。

 そのことを深く脳裏に留め、日々の生活を送ることが、日本が世界に示せる平和へのメッセージでもある。

 世界にはない日本の平和、例えば1万年以上続いた戦いの形跡のない縄文時代、戦国の後に260年近く続いた江戸時代そして戦後80年の平和が、人類の本来あるべき姿としての、貴重な平和のモデルとなっている。

 不幸なことは、世界がいまだその平和のモデルを踏襲するつもりがないことだ。むしろ古来からの武器商人、今日の軍事産業が興国の経済並びに支配のモデルとして、ついに21世紀の世界は地球の終わり、人類消滅のカウントダウンを迎えたかのごとき様相を呈している。

 そこに希望はあるのかと問うとき、もちろん至る所で様々な取り組みがなされている。

 そんな一つが、日本のサムライ精神を、世界の歴史をめぐるエンターテインメントとアートにして演じる「和」の音楽一座「ヘヴニーズ」である。

 ヘヴニーズとは英語の辞書を引いても出てこない。ヘブン(天国)とジャパニーズ(日本人)を合わせた造語である。ヘヴニーズがその言葉通り、ユニークな存在として通用する今日、造語に改めて大きな、そして深い意味があることに気づかされる。

 座長である石井希尚(マレ)+久美子夫人+仲間のミュージシャンからなる一座の演じる舞台は、極めて大きな時代的使命を担わされている。

 彼らの価値あるチャレンジは、世界に通用する日本の侍(武士道)の賜物である。

 「死ぬな!」と命令した上司

 第二次世界大戦中、多くの兵士は各地の戦線に送られて、そこには戦闘を回避する道などあり得なかった。玉粋・死を前提にした陸・海軍の特攻部隊は、その究極の姿として、いまも語り継がれ、日本ばかりでなく、世界の映画やドラマで話題になっている。

 特攻とは陸軍では神風特別攻撃隊、海軍では神風桜花特別攻撃隊として、連合軍艦隊に体当たりする自爆作戦である。そのいくつかあるもの一つが、ヘヴニーズが紹介するものである。

 ヘヴニーズは世界を知る立場の一員として、これまでわれわれ日本人が知らない、知らされてこなかった、あるいは自ら封印してきた日本の真の姿を歌舞音曲というアートにしてメッセージしてきた。

 そんな代表例として「ウエルネス@タイムス」第35号では、ヘヴニーズ曲「大切なひとよ」のモデルとなった80年前の帝都防衛戦で「撃墜王」と呼ばれた小林照彦陸軍少佐と千恵子夫人についてレポートしている。

 2024年9月4日は、東京・北区の「北とぴあ」さくらホールで開催された「フリーダムファイト11」に行ってきた。そこは、80年前の東京大空襲の舞台でもある。

 先のヘヴニーズの本拠地・調布でのフリーダムファイト同様、今回も陸軍・最初の特攻隊として知られる「万朶飛行隊」がテーマになっている。

 百田尚樹著『永遠のゼロ』(双葉社)のモデルとされている他、劇作家・鴻上尚史氏が『不死身の特攻兵』(講談社現代新書)で書いている。その副題は「軍神はなぜ上官に反抗したか」である。

 ヘヴニーズのフリーダムファイト版では、陸軍士官学校出のエリートで構成された万朶飛行隊隊長の岩本益臣大尉と、和子未亡人。岩本隊長からの「生きて帰ることが使命」との命令を守って、9回出撃して9回生還したパイロット・佐々木友次伍長らの史実を通して、全体を貫くテーマ、命の尊さを今に伝える感動的なストーリーに仕上げている。

 作戦は、通常の倍以上もある800キロ爆弾を抱えた飛行機でアメリカ艦隊に体当たりして撃沈させるとのことだが、その“新型兵器”とは名ばかり。「こんなものを本気で実戦で使うつもりなんですか」という虚しい岩本隊長の言葉通り、優秀な航空機乗員を無駄死にさせただけである。

 フィリピン戦線に投入された万朶飛行隊で、佐々木伍長は戦果を上げるが、それも操縦の腕が優れていて、たまたま運が良かった程度のことで、事実、岩本隊長以下4名は名誉の戦死を遂げている。

 そんな中、死を至上命令とされた特攻隊とはいえ、死なない選択・決断をした隊長・兵士がいたことは、貴重なエピソードである。

 米軍がバカ爆弾と呼んだ「桜花」

日本の特攻の歴史の中には、似たようなケースがいくつかある。

 よく知られているものの一つが、ノンフィクション作家・小林照幸著『父は、特攻を命じた兵士だった。』(岩波書店)で明かされたケースである。

 特攻は基本的に死を避けられないが、特攻を命じる側は、最後まで死ぬわけにはいかない。そのため、戦後も生き残る。だが、そこでは行くも地獄、残るも地獄である。

 副題にある「人間爆弾=桜花とともに」の人間爆弾とは、一式陸上攻撃機に懸吊されて投下される武器であり「桜花」と名付けられたもの。乗員1名で、小型戦闘機に分類され

ているが「桜花」自体では空を飛ぶことはできない。

 翼とロケットエンジンはあっても、それは親機に敵目標近くまで運んでもらって、投下後に推進力を得るためのものだ。ちなみに、米軍が「桜花」に与えた呼称は日本の「バカ爆弾」(BAKA BOMB)というのだから、ほとんどマンガである。

 主人公は弱冠23歳の分隊長・林冨士夫氏である。生き残った者の辛さにさいなまれ、

その後の人生をすべて慰霊の日として過ごした。

 参考文献ともなっている彼の手記は「自殺」というタイトル。実にわかりやすい命名である。

 玉砕を許されなかった戦場の人事係

 一連のヘヴニーズ「フリーダムファイト」の特攻ものを見て、筆者にとって興味深いのは、例えば七尾和晃著『戦場の人事係』(草思社)である。副題は「玉粋を許されなかったある兵士の戦い」である。

 生きて帰ることを使命にしている点は同じだが、特攻とは異なるケースである。

 その知られざる物語は、記録作家の肩書を持つ著者が、元・下士官の極めて希有な戦場の記録とともに、戦後の人生を描いたものだ。

 主人公である元・下士官の石井耕一氏は、玉粋による最期を余儀なくされた沖縄戦で、上官である中隊長から「生きて伝えよ」との命令を受け、死に行く仲間たちの最期の様子をすべて書き留めていた。几帳面に記されたノートを、彼は防空壕代わりのガマ(洞窟)の奥に隠して、1944年6月24日、米軍の捕虜となった。

 前日の23日は、沖縄戦を指揮した牛島満司令官が自決した翌日である。その日、彼の戦争も終わった。

 戦後、故郷・新潟に帰った彼は、役場に勤める傍ら、中隊唯一の生還者として、全国各地の遺族を訪ねて、その最後の様子を伝えて歩いた。それはいわば戦後の「死の伝令役」である。

「特攻を命じた父」同様、特攻隊そして東京大空襲から80年、近年ヘヴニーズが取り組むディープステート、コロナワクチン・パンデミックなどのベースにあるのは、時代を超えての「命の尊さ」である。

 3時間超という長丁場のステージ

 フリーダムファイトはおよそ1000人の観客を前に、3時間超という長丁場のステージとなった。歌や演奏の他、トークコーナーから、ダンスあり、日本語ラップあり、太鼓あり、コントありと、実に盛り沢山な内容である。

 一部老人ファンには、楽しくても長すぎるとか、コントはふざけすぎで「ちょっと?」といった声も聞こえてくるが、逆にエネルギーあふれる若者には、すべてが楽しくカッコいいものとして、ヘヴニーズと同じ時間・空間を共有できる充実感と幸せそのもののイベントとなる。

 ヘヴニーズのフリーダムファイトの内容が盛り沢山なのは、老若男女分け隔てなく、お持てなしする、みんなに楽しんでもらいたいというあふれる思いが、3時間超の舞台となる理由だろう。

 それは貴重で得がたいヘヴニーズの愛なのだが、渇いた時代、世界を象徴する東京砂漠では、たぶんその前に「水(カネ)をくれ」との大合唱となる。

 そんな時代の廃墟から立ち昇ってくるのが、ヘヴニーズが向き合う「和」の精神、サムライの魂であり、混迷の世界に天国そして希望として存在してきた日本=大和魂である。

 心に響くヘヴニーズの楽曲は、多くがそのまま世の中へのメッセージになっている。

「15歳のときは理想主義者だった」と歌う印象的な曲「イノセントマン」は、純粋な思いを抱いていたころの心情を歌い上げることによって、理想主義者として生きることが難しい大人の時代に、なお理想に生きるべき価値を伝える。

 そんな思いや理屈は、やがてヘヴニーズでは珍しいバイオリンの響きを聴けば、メンバーのすべてが世界で通用するミュージシャンだということに、改めて気がつかされる。

 アーティストとして一流だからこそ、たぶん座長・石井マレの例えば、その日のステージ全体を支配する「大本営発表のウソ」という社会的なメッセージが素直に、見ている者たちに届くわけである。

 そして、様々な仕掛けの後に、フィナーレに向かって、怒濤の盛り上がりを見せて、世界のヘヴニーズライブは終焉へと走り続ける。

 終わりの時は待ってはくれない。お約束のアンコールに「大切なひとよ」が流れて、やがて夢のような時間は、次回を期待すべきだとの余韻を残して幕を閉じた。

 次回のヘヴニーズ「フリーダムファイト13」は2025年2月13日「ZEPP TOKYO DIVER CITY」で開催される。

 プロテスタント牧師の肩書を持つ石井マレ氏は、かつて自ら教育問題に直面したこともあり、一足早くフリースクールに着目。現在、ヘヴニーズの拠点「キックバックカフェ」のある仙川で、フリースクールを展開している。

 最近のヘヴニーズの舞台には、彼らがヒーロー・ヒロインとして、またダンスパフォー

マンスを見せるなど、フリーダムファイトの重要なメンバーとなっている。

 きっと多くの若者が、次なる舞台を待っているはずである。




閲覧数:132回0件のコメント

Comments


bottom of page