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なぜ「債権回収会社」は、自ら仕掛けた裁判を取り下げたのか?  ローン天国の裏側で起きていること        無名ジャーナリストの戦い

なぜ「債権回収会社」は、自ら仕掛けた裁判を取り下げたのか?

 ローン天国の裏側で起きていること        無名ジャーナリストの戦い


 事件名は譲渡債権請求事件?

 本来、社会的地位のある人物で、長年の知人の連帯保証人になったことから、バブル崩壊もあり相手の破綻後、こちらに請求が来て振り回されたこと。商工ローンの怖い体験から、自らのローンが払えなくなるなど、まるで坂道を転がるように借金地獄に陥って、ついに債権回収会社(サービサー)から訴えられたのが、2022年2月のことである。

 札幌簡易裁判所書記官から送られてきた「口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」には原告の債権回収会社の代表名と印鑑、委託社の代表名と印鑑に、被告(筆者)の住所と氏名が列記された「訴状」が同封されていた。

 簡易裁判所による事件名は「求償金請求事件」だが、なぜか訴状では事件名「譲渡債権請求事件」とあり、訴額140万円+印紙代・切手代1万7879円となっていて、添付書類と証拠書類(金銭消費貸借契約証書写し、代位弁済証書写し、債権譲渡通知写し)が同封されていた。

 立派な内容に、受け取った側はビックリする。「ホントに訴えたんだ!」と焦って、どうしたらいいのか? うろたえて当然である。

 訴状の「請求の趣旨」として「金140万円(金1977万1012円の一部請求)及びこれに対する平成22年5月から完済に至るまでの遅滞損害金を支払え」とある。

 簡易裁判所からの特別送達内容も「口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」と、仰々しいタイトルだ。

 だが、その内容は口頭弁論日と法廷場所の案内とともに(注意事項)として、答弁書のひな形と書き方が同封されていた。しかも「ご不明な点は上記担当書記官にお気軽にお尋ねください」と記してある。

 まるで、自分で答弁書をつくれると言っているようでもある。

「答弁書の書き方」の裏面には「注意事項」が記されていて、基本的に自分で対応することを前提にしているようにも見える。

 そして中ほどに「法律の専門家に相談したいが、知り合いがいない」場合として、日本司法支援センター(法テラス)と札幌弁護士会法律相談センターの連絡先が書いてある。

 もちろん、何もせず口頭弁論期日に欠席すれば「相手方の言い分どおりの判決がなされ(即日判決されることもあります)、後日あなたの家財道具や給料などの財産が差し押さえられることがあります」と赤字で書かれている。


 難しくない答弁書の書き方

 もともと、親戚が頼んだ弁護士が相手側弁護士と交渉して、示談にされた苦い経験から

今回はすべて自分でやるつもりであった。札幌簡易裁判所からの「答弁書の書き方」等の案内は、弱者の強い味方という印象である。

 こちら側の答弁書は、次の通りだが、もし弁護士に頼んでいたら、とても勝ち目はない展開になったはずである。

「赤い封筒が届いたとき」どうすべきか、例えば答えを探してネット検索すれば、専門を謳う弁護士事務所や司法書士等の代行業者によるアドバイスがいくつも出てくる。

 共通していることは、そのまま放置していると、財産の差し押さえ等が実行されるようになるので、早めの対処をというものだ。そして、専門家に頼るのが、もっとも後悔しない懸命な方策というものである。

 簡易裁判所のアドバイスのように「答弁書の書き方」を教えてくれる専門業者などいないあたりに、専門という弁護士同士の借金被害者の囲い込み?があるのではないか。そんな印象もある。

 事実「答弁書の書き方」はA4判の黄色い用紙わずか1枚である。書き方の実例なども出ていて、よく読むまでもなく、簡単にできあがる。実際に、同封されている答弁書のひな形は、空欄に必要事項を記入して、そのまま提出できるようになっている。わからないときは、担当書記官に電話をすれば、ていねいに対応してくれる。

 以下、筆者の提出した答弁書は、裁判所からのひな形(見本)を用いず、別にワープロで作成。別紙答弁書と添付書類(真っ赤な封筒、強制執行予告通知)と一緒に、裁判所に提出した。

 ポイントは「請求に対する答弁」について「認めません」との意思表示と理由を述べた別紙を添付していること。「私の言い分」については「次回以降に述べる」こと。4月の口頭弁論期日には出廷しないことである。

 訴状が届いて、なるべく早く、遅くとも第1回目の口頭弁論期日の1週間前までには、答弁書を郵送等の方法で送るようにとあるため、3月半ば過ぎ、札幌簡易裁判所宛に郵送した。

 結果は、原告側の「告訴取下げ」。それも裁判所の受付日は、3月末日である。


 まさかの「告訴取下げ」!?の真相

「取下書」には「御庁、上記当事者間の頭書事件について、原告の都合により本件訴えを全部取下げます」と書いてある。

 人を訴えることは誰でもできる。告訴を取り下げることもできるとはいえ、その対応のあまりの早さに、いささか拍子抜けしたことを思い出した。

 このまま裁判を続けると「とんだ藪蛇になる」と、理解したためとしか思えない。

 裁判所からは取下書と一緒に「同意書」が同封されていて、事務連絡として、取下げに同意できない場合は、2週間以内に「同意できない」旨を記載した書面を送るようにと書かれていた。

 そのため、すぐに「原告の訴え取下げに同意いたしません」との上申書(不同意書)を送付した。

 理由の一つは、被告が以前に送った答弁書に記した質問に答えていないため。

 もう一つの理由は、原告の「取下げの理由」である「原告の都合」とは、どのようなものなのか、教えてもらいたいというものだ。

 その背景に「訴外」として、以下のように記している。

「本事件の被告は、一個人であると同時に『読売年鑑』等に記載のあるジャーナリストです。あらゆる個人的な行為・言動ではあっても、ジャーナリストとして、常に社会的責任が問われる立場であるという自覚と宿命を担っています。

 その本質は、常に誰かの代わり、あるいは全国民を代表してというものです。

 何か言いがかりのようなものがあって、それが個人レベルでのものであれば、無視するだけのことですが、今回の事件はすでに司法を動かしている以上、私個人のこととして済ませられるものとも思えません。

 同時に、ジャーナリストとしては、これも貴重な体験として、世間に報告すべき内容である可能性も否定はできないためです。

 その背後には、似たような経験のある人たちが、必ずいるということであり、このまま納得の行く回答が得られずに訴訟を終わらせるのは、かえってジャーナリストとして不誠実だと考えています。誠実な対応をお願いいたします」


 不都合な真実を突いた「答弁書」

 誰でも、基本的に誰かを告訴することは可能である。訴えを取り下げることも、よくある話である。

 だが、勝手に人を訴えておいて、すでに司法を動かしているのに、これまた勝手に取り下げとはあまりに身勝手である。

 原告である債権回収会社にとって、どんな不都合な真実が背後にあったのだろうか。

 被告(筆者)の答弁書には、一体、何が書かれていたのか?

 別紙「答弁書」の内容は、以下の通りである。

          *                 *

 原告はこれまで、例えば2021年10月28日に「重要なお知らせ」と書いた真っ赤な封筒で「強制執行予告」として、発行時点残高欄に記載している請求債権合計額の支払いを求めています。

 同書面によると、発行時点残高は62,890,231円になっています。

 そこには、ただし書きとして「※お支払い、あるいはご連絡と本状が行き違いになった場合は、あしからずご容赦下さい」とあり、お支払い銀行口座番号が記載されています。

 仮に、被告が2021年10月28日以降「口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」が届くまでの間に、原告の期待通り請求額を支払っていたとすれば、原告は62,890,231円を取得していた計算になります。

 訴状の添付書類は、一見、裁判の証拠書類として意味のあるもののようですが、原告とどのような関わりがあるのでしょうか。

 被告の代わりに原告が残金を支払っていたのならさておき、原債権者の契約を、まるで原告の契約のように、訴状に添付することにどのような意味があるのでしょうか。

 具体的な根拠を示していただければと思います。

 一方、2022年2月8日の「訴状」では、原告の請求額1,400,000円を支払えと述べています。

 なぜ、62,890,231円が1,400,000円になるのか。理由がわかりません。

 不当な請求は、原告が問題の債権を一体いくらで取得したのかを書かないことにより、

可能にしようとしているものと考えられ、支払い請求(譲受債権請求)自体、「債権管理回収業に関する特別措置法」に基づく、法務大臣許可第41号の委託を受けた株式会社の業務には程遠い詐取的な請求というしかありません。

 素人の無知につけこむ、悪徳商法と思えば納得が行くこととはいえ、およそ法廷の場には似つかわしくない請求だと考える次第です。

          *                 *

 要は、訴訟の直前まで6289万円を請求していて、もし仮に被告(筆者)が、例えば家の恥だとして、親戚一同が全額用意したり、支援者が事情を知って全額用意してくれたり、あるいはジャンボ宝くじに当選したりして、全額支払うことができた場合、原告は約6289万円を受け取ることになる。

 仮定の話とはいえ、このようなケースを世間では「人のふんどしで相撲をとる」と言うわけである。

 しかも、実際の譲渡金額は、クズのような不良債権のため、金額は業界の不都合な真実を暴くことから、無難な数字140万円で手を打とうとしたということだろう。以前「20万で、何とか示談に」とか言っていたこともある。 


 債権回収会社からの電話

 2022年4月21日、札幌簡易裁判所の担当書記官に電話をした。

「原告側から電話があって、告訴は取下げたので、裁判は終了したとの連絡があった」と伝えたところ、ちょっと驚いた様子であった。

 裁判所が電話を促すばずもないからだが、何とか訴訟を終えたいと、焦っていた債権回収会社担当者のウソというわけである。

 そんな中で迎えた口頭弁論期日は、結局、双方の都合で最終的に6月になった。

 当日、10時開廷の法廷に行くと、2人目に筆者の番が来て、原告と被告の答弁書の内容を確認した後、被告(筆者)の要求に対して、原告側の回答のないまま、原告の「請求放棄!」により、アッという間に裁判は終わった。

 同法廷には、同じ時間に何件もの似たような案件が並んでいて、原告側の弁護士は筆者相手以外の請求事件のため、その後も法廷に残っていた。

 筆者の質問に、裁判官は「告訴取下げ」については、よくあると言っていた。

 筆者のケースでは、最後は何とか、これ以上、訴訟は続けないでほしいといった泣きの電話があったぐらいで、とりあえず長年続いた訴訟沙汰から解放されたと思えば、喜ぶべきかもしれない。

 後日、判決に代わる「第2回口頭弁論調書(放棄)」が裁判所から届いた。

 現在のローン天国の裏側で、何が起きているのか。本来ならば、原告が一体いくらで債権を譲渡されたのか、改めて問いたいところだが、相手が応じるはずもないことから、とりあえず債権回収会社との戦いは終えることにした。

 無名ジャーナリストの仕事としても、あまり有意義な内容でもないためである。


 
 
 

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